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循環社会推進協議会へのお誘い

電気がよりパーソナルになる時代

代表理事 兼 電池部会長 熊谷 枝折

ソーラーカーレースと電気自動車の省エネレースの誕生は,電力会社の動きと少なからず関係があります。日本での初めてのソーラーカーレースは,エネルギー消費増と環境保全との相反するテーマに関心が持たれ,電気自動車などのクリーンエネルギー自動車の開発,実用化がより強く求められる中,1992年に電気事業者連合会とエネルギー庁の強力なバックアップにより石川県・能登で実現しました。志賀原子力発電所の建設に合わせて,全電力会社の幹部が列席されての開催であったこと記憶しています。

そして,20年が経過し、猛威を振るってしまった東日本大震災の後,自然の力が主役となり,必要以上の電気エネルギーをつくり出す責任の重さと貴重な電気を使用する尊さを改めて感じさせられてしまいます。

東北にある電力会社が直列インフラ型ハイブリット電気自動車を開発したのは,山間地を電気自動車が走行する 時に、必要な時に充電スタンドがないのだから,電気がなくなった時に自ら発電機で充電して走行できるようにする「電力を供給する」意識からであり、豊富な電力を充電して走行するものではありませんでした。

毎年、秋田県大潟村等で開催している「ワールド・エコノ・ムーブ」も、電気に対してより意識的になってもらうための試みです。約100Whのバッテリーを支給し、それ使ってどれくらい走れるかを競う大会で、第1回開催から25年を経て、走行距離は約2倍近に伸びました。参加者が真剣に電気と向かい合った結果です。

一般的にも,「温暖化対策と経済成長の両立には省エネが極めて重要な役割を占める。」と指摘されています。今後はさらに蓄電池に対するニーズが更に高まると考えています。これまで、電気は無尽蔵に供給されるものと思われてきました。電力使用量を可視化し、発電機や蓄電池を制御するエネルギー監理システム(EMS)は一気に普及し、電気は需給関係をモニタリングしながら、コントロールするものという意識が定着してきています。そして、電気がパーソナルな存在になることで、よりよいエネルギー環境が生まれると考えます。

現在、注目しているのがMgです。Mgは海水に含まれるため、日本国内でも塩田から採取可能で資源としての制約が少ないものですが、今のところ需要が高くならず、精錬には熱と電力を多く使うので海外で作りだされていますが、我々のプロジェクトでは、太陽熱や太陽光、更に国内での余剰電力をうまく利用することの開発が推進されています。これを用いて製品化して行くのが、Mg空気電池です。負極がマグネシウム金属、正極が空気中の酸素、電解液が塩水で構成される電池で、理論エネルギー密度が高く、電解液を入れなければ長期保存が可能です。放電後にMg化合物を生成しますが、自然エネルギーを用いてMg金属に再生する技術も確立されています。

われわれは、このMg空気電池の原理を用いた非常用電源(Mg空気電池)を開発しました。今の処、携帯電話に特化した、USB端子2個を装備した非常用電源で、水を入れるだけで発電できます。災害時のもっとも重要な問題の1つは、携帯機器の電池切れによる情報の遮断です。その教訓から、避難所などに設置して、簡単に多数の携帯電話に電力を供給できるようになりました。長期保管が可能で、使用後の廃棄が容易です。備品として保管しておけば、使いたいときに持ち出して、使い終わったら簡単に廃棄できます。1次電池ではありますが、1次電池ではありますが、2次電池のように繰り返し利用できる可能性があります。電池の開発は、電気をよりパーソナルなものへと変える試みです。

ロボット市場の拡大は、電気に対する意識を確実に変えます。民生用ロボットが普及し、ペットのような存在になれば、充電という行為がロボットにとっての食事であることが認識させられるはずです。人間と同じで、食べなければ動けなくなっていくのです。そこには、更に信頼性の高い電池が必要になってきます。そして、電気がパーソナルな存在になればなるほど、人は電気に意識的になるのです。

マグネシウムの製錬、合金、構造材、建材から電池への展開、自然エネルギーや余剰時のエネルギーを使ってリサイクルができれば、マグネシウムエネルギーを循環システムとして、地球環境の維持保全に貢献でき、世界中のどこでも公平なテーマとなる。用途としては大きさ順に、①使い捨てタイプの非常用電池(「MgBOX」として製品化)②家庭用電源、③発電所(プラント)が考えられます。現状のマグネシウム空気電池では、構造材用への高強度難燃性のマグネシウム合金を使用するが、性能向上の為、電池負極用に特化したマグネシウム合金の研究が進められている。更に電気エネルギー供給対策として発電システムの開発や構築も進められている。しかし、現状マグネシウムの製造・精錬は国内でほとんど行っておらず、中国からの輸入とされています。今後、コストダウンと安定確保の為には構造材としての用途を増やし、「マグネシウム循環社会」としてのリサイクルを進行させることにより、コストダウンとなり、蓄電池システムとして成立し、実現できるとみています。

我々協議会は、マグネシウムに限らず、今後、エネルギーキャリアとなるものを循環システムとして位置付け、国内だけでなく世界中のどこでも公平なテーマとしての扱いができるように、啓蒙活動を推進、構築、実現することで、地球環境の維持保全に貢献して参ります。

2019.04.03

お問い合わせ及び連絡先

事務局長

熊谷 枝折(代表理事)
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